◆少額減価償却資産とは
使用可能期間が1年未満のもの、取得価額が10万円未満のもの、が原則的な少額減価償却資産で、
取得し事業の用に供した事業年度の損金とすることができます。
そのほか、次の特例があります。
①取得価額20万円未満の減価償却資産
一括償却資産として、取得し事業の用に供した事業年度を含む3年間での損金経理を認めています。
②取得価額30万円未満の減価償却資産
中小企業者(資本金1億円以下の法人)の特例として年間300万円までについては
取得し事業の用に供した事業年度の損金とすることができます。
◆少額減価償却資産の金額と消費税
取得価額が10万円未満、20万円未満、30万円未満であるかどうかは、
免税事業者である場合を除き、法人が採用している消費税等の経理処理方式に応じて算定した価額により判定します。
つまり、税抜経理方式を採用している場合には、消費税抜きの価額が取得価額となり、
税込経理方式を採用している場合には、消費税込みの価額が取得価額となります。
◆少額減価償却資産の金額と圧縮記帳
資産が法人税での圧縮記帳の適用を受けたものであるときは、取得価額が10万円未満、
20万円未満、30万円未満であるかどうかの判定は、その圧縮記帳後の金額に基づいて行います。
したがって、圧縮後10万円未満なら即時の費用、20万円未満なら一括償却資産の取扱いがあり、
30万円未満なら、除外要件に該当しない限り、これも即時全額償却となります。
◆30万円未満即時償却の除外要件
なお、少額資産に係る10万円と20万円の規定は法人税法の規定ですが、
30万円の規定は租税特別措置法の規定なので、ここに異なる取り扱いが存在するので、留意すべきことがあります。
即ち、租税特別措置法には、租税特別措置法の規定の重複適用を原則排除するような規定が他方にあるので、
圧縮記帳が租税特別措置法の規定に拠って行われている場合は、30万円未満即時償却の適用は、
重複適用として、除外要件に該当することになり、適用することができません。
◆新設法人は原則として免税事業者
新規設立法人には、消費税の納税義務を判定するための前期、前々期(基準期間)がないため、
原則として設立1年目、2年目の事業年度における消費税の納税義務は発生しません。
ただし、原則に対する例外があります。
◆例外1 資本金1000万円以上
その事業年度開始の日における資本金の額が1000万円以上である法人については、
その基準期間がない事業年度であったとしても、納税義務は免除されません。(平成9年の税制改正)
◆例外2 特定期間課税売上1000万円超
上半期である半年間の課税売上高が1000万円を超えていた場合、
その翌事業年度は納税義務が免除されません。
その前年上半期のことを「特定期間」といいます。(平成23年6月の税制改正)
◆例外3 特定新規設立法人
設立された法人の50%超を保有する法人・個人を含めた株主グループの中のいずれかが、
新設法人の基準期間に対応する期間の課税売上高につき5億円超であったなら、
その新設法人の納税義務は免除されません。
この50%超の支配関係下にある新設法人のことを「特定新規設立法人」といいます。(平成24年8月の税制改正)
◆例外4 新設合併消滅会社が1000万円超
合併によってすべての会社が消滅し、新しく設立された会社が消滅会社を承継することを新設合併といいます。
合併があった日の初年度では、消滅被合併法人のいずれかが、
新設法人の基準期間対応課税売上高につき1000万円超の場合、
2年目以降は、合併・各被合併法人の基準期間対応課税売上高の合計額が1000万円超の場合、
では合併新設法人の納税義務は免除されません。
◆例外5 新設分割会社等が1000万円超
会社分割・現物出資・事業譲渡による新設法人(新設分割等承継子法人)の
その分割等があった日の初年度では、分割元等法人のいずれかが、
新設法人の基準期間対応課税売上高につき1000万円超の場合、
2年目以降は、分割・承継等の全法人の基準期間対応課税売上高の合計額が1000万円超の場合、
では新設分割等設立法人の納税義務は免除されません。
◆従業員のマイナンバーの収集・保管には
これから従業員のマイナンバーを収集・保管するにはどうするのが良いのかと
考えている企業も多いかと思います。
セミナーで聴いたり、システム会社からシステム導入の説明や勧誘を受けてみたりしても
何が自社に適当か分かりにくいのが現状です。
マイナンバーを含む特定個人情報は今までよりも厳重な取り扱いが求められ
故意による漏えいには罰則が強化されています。
取り扱いには注意し、漏えいしないよう必要な手立てをしておく事は大事でしょう。
◆在職者の番号収集時期は
事業所はマイナンバーを収集・保管して来年からの雇用保険や労災保険、
税分野の書類に関し、届出の際に使用します。
事前に社内でマイナンバー事務を扱う人を決めておく必要があります。
在職者の番号の合理的な収集時期は年末調整の前の扶養控除等申告書を
各人に配った時に番号を記載してもらい、マイナンバーの通知書写しを添付して、
会社が確認をするのが良いでしょう。
収集方法は直接かメールでは別便パスワード付きで送付、簡易書留で送付等によって集め、
会社はナンバーを記録すれば写しは保管してもシュレッダー等で廃棄してもかまいません。
◆小規模事業所の収集・保管の流れの例
(1)扶養控除等申告書と個人番号の写しを提出、本人確認や番号の確認をしたらコピー等は保管しない。
(2)担当者が手書きで書面に記載して金庫や鍵付きキャビネットで保管するか、
パソコンに入力して管理する時はID・パスワードを付ける。
(3)提出書類に番号を書く必要があった時には金庫から取り出し、番号を転記、
番号は元の金庫にすぐしまう。
(4)手続や届出書の控えは、法定保存期間を過ぎたら廃棄する。
(5)退職者の書類の番号部分はマスキングしておいて法定保存期限が来たら廃棄する。
小規模な事業所では紙ベースでの記録保管が便利です。
社員への使用目的説明義務、番号利用記録の記載もでき、バインダーにとじて保管ができる用紙が出ています。
システム利用をためらっている場合や費用をかけたくない場合であれば簡単に始められるので、
まず行ってみる事で悩みも軽減されるでしょう。
◆交際費に該当しない交際費
交際費等とは、交際費、接待費、機密費その他の費用で、法人がその得意先、
仕入先その他事業に関係のある者等に対する接待、供応、慰安、
贈答その他これらに類する行為(以下「接待等」といいます)のために支出する費用をいいます。
ですから接待、慰安、懇親を目的とした飲食その他これに類する行為
(以下「飲食等」といいます)のために要する費用は交際費ですが、1人当たり5,000円
(消費税抜き)以下の場合は交際費に該当いたしません。
但し専らその法人の役員若しくは従業員又はこれらの親族に対する接待等のために支出するものは、
5,000円以下であっても交際費に該当いたします。
◆資本金1億円以下の法人
交際費は原則損金不算入ですが、次の①か②の有利な方を選択して、損金に算入できます。
①飲食等のために要する交際費に該当する費用。要は以下の費用です。
「1人当たり5,000円を超える費用並びに法人の役員若しくは従業員又はこれらの親族に
対する接待等のために支出する費用」の50%の損金算入を認める。
②800万円までの交際費の損金算入を認める。
①は飲食等のために要する交際費に該当する費用の50%が800万円より多い企業が選択しますが、
多くの中小企業は②となると思います。
◆その他の企業
資本金1億円超の法人の場合は①の適用ができます。
できますと言ったのは、平成26年3月31日以前に開始した事業年度は、
交際費は原則通りすべて損金不算入でした。
また資本金5億円以上の企業の100%子会社等は資本金が1億円以下であっても①の適用しかありません。
交際費は景気動向も踏まえ政策的に頻繁に変わります。毎年チェックしましょう。
◆育休取得・職場復帰を支援する助成金
2015年2月より中小企業両立支援助成金の1つに「育休復帰支援プランコース」が新しくできました。
育児休業を取得し、職場復帰する人と職場環境の業務見直し等を支援します。
育児休業者が初めての人でも、2人目以降の人でもよく、育休復帰プランナーの支援を受けて
育休復帰支援プランを策定すればよいなど、申請の要件も他の両立支援の助成金と比べても
難しくはありません。
1事業主につき1回限りの受給です。
◆申請手順
育休復帰プランナーとは育休支援プランの作成および、プランに基づく措置の実施を支援します。
厚労省が委託する事業者が委嘱した者で、社会保険労務士や中小企業診断士の資格を有する者等が
委嘱されています。
1.プランナーの申し込み
厚労省のHPからできます。受け付け後受託事業者からプランナーが派遣されます。
企業を訪問しアドバイスをします。
ア、育休復帰支援プランの策定の支援
イ、対象社員の取り扱いに関する事
ウ、育休復帰を円滑にする業務改善指導
エ、助成金手続きに関するアドバイス
等を無料で受けられます。
2.事業主は労働者の育児休業の取得・復帰支援に関するマニュアルや規定を作成する
社内報等で労働者に知らせます。
3.産休・育休支援面談(休業前)
対象労働者が出たら面接シートを使い「妊娠報告後面談」と「休業2ヶ月前面談」を行います。
前者では出産予定日や妊娠期間中の就労時の配慮事項、業務引き継ぎ等を話します。
後者では、職場復帰後の就業イメージ等を話し合います。
4.対象労働者の育休復帰支援プランの策定
休業中の業務を滞りなく行うための体制作り、復帰後の時間制約のある状態での
働き方等を策定し産後休業開始日までに社員に知らせ、業務引き継ぎを終了します。
◆支給申請
休業取得時申請は育休(産後休業終了後引き続き育休を取る人は産後休業)を
開始した日から3ヶ月経過する日の翌日より2ヶ月以内に、復帰時申請は
育休終了日の翌日から起算して6ヶ月を経過する日の翌日から2ヶ月以内です。
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