テレビ番組の制作や劇場運営などを手掛ける吉本興業が、資本金を125億円から1億円へ
減資するそうです。
「大企業」から「中小企業」になることで税法上の優遇措置を受ける狙いがあるようです。
同社は今年3月末時点で利益剰余金がマイナス140億円、税引前損益が29億円の赤字となるなど、
苦しい経営状態が続いていました。
資本金が1億円以下の企業は税法上、「中小企業」として扱われます。
法人税は本則25.5%ですが、中小企業には800万円以下の所得については
19%の軽減税率が認められており、現在はさらに租税特別措置法で15%の税率が
適用されています。
また業績にかかわらず従業員数や資本金に応じて課税される外形標準課税も、
中小企業は課税対象に含まれません。
そのほかにも欠損金の繰越控除制度や雇用促進税制など、
多くの税目で中小企業には優遇が用意されています。
そのため、今年5月には大手電機メーカーのシャープが99%の減資をして
資本金を1億円にする計画を進めていましたが、経産相が「税制優遇を利用するために
減資するというのは違和感がある」とコメントするなど批判が相次ぎ、
最終的に税法上の「大企業」として扱われる5億円への減資に落ち着いた経緯があります。
吉本興業は今回の減資について、「中長期的な視点で、資金を有効な投資に振り向けていくため」
として税優遇目当てとの見方を否定しました。
しかし、社会的に名前の知られた有名企業が中小企業税制の適用を受けることに対しては反発の声も上がっているようです。
遺言に基づいた相続であれば残された家族の税負担が軽くなる
「遺言控除」の新設が検討されています。
相続税は遺産相続額から基礎控除額(3千万円+法定相続人の数×600万円)
を差し引いた上で税率をかけて算出されます。
遺言控除はこの基礎控除額に上乗せする形で税負担を軽減するもの。
制度設計の詳細は今後明らかになりますが、控除額は数百万円を軸に検討されているようです。
新しい控除制度は自民党の「家族の絆を守る特命委員会」が開いた会合で提唱されました。
遺言作成を促進することで「争族」を防止するのが狙い。
出席議員からは肯定的な意見が相次いだそうです。
しかし、新たな控除の上乗せは減税となるうえ、防止効果自体を疑問視する向きもあって、
実現へのハードルは低くはなさそうです。
遺言には、自筆の遺言書などのほか、遺言を残したい人の話を公証人が筆記して作成する
「公正証書遺言」があります。
公正証書遺言は公文書で、自筆よりも不備などの恐れが低くなっています。
作成件数は増加傾向にあって、昨年は年間10万件を突破しました。
この遺言作成手数料は遺産額に応じて決まります。
公正証書遺言は客観性が高い一方で一定のお金がかかるため、
何らかの税制上の措置を設けるべきとして遺言控除の創設が求められました。
◆平成27年5月「空き家対策法」全面施行
平成27年5月「空き家対策法」(空家等対策の推進に関する特別措置法)が施行されました。
日本の空き家の数は820万、空き家率は13.5%に上り、増加傾向にあると言われています。
管理が不十分な空き家は、火災の発生や家屋の倒壊、衛生面や景観面の悪化等も懸念されます。
このような状況を受けて登場した「空き家対策法」ですが、税金にもいろいろな影響を与えています。
◆固定資産税 特定空家の住宅用地特例除外
「空き家対策法」では「周辺の生活環境の保全を図るために放置することが
不適切な状態にある空家等」を「特定空家」と定義して、その所有者に対して必要な措置を取るよう
市町村長が助言・指導・勧告・命令等をできることとなりました。
これを受けて、同法の勧告の対象となった「特定空家」の敷地については、
「住宅用地の特例」(価格に1/3~1/6の率を乗ずる特例)の対象から除外する措置が取られました。
場合によっては、固定資産税が今までの6倍となる物件も出てくることが予想されます。
◆所得税「空き家補助金」と所得税の関係
また、「空き家対策法」施行前から、既に空き家の有効利用を進める観点から、
空き家の取得・リフォーム・解体費用の一部を補助金として給付する自治体がありました。
この補助金を一般個人が取得した場合には、一時所得として課税されます。
ただし、空き家の取得・リフォームに伴い取得する補助金には「国庫補助金等の総収入金額不算入」(申告要件あり)、
解体費用に伴う補助金には「移転等の支出に充てるための交付金の総収入金額不算入」(申告要件なし)の規定があり、
いずれの「空き家補助金」にも課税されない制度が設けられています。
また、金融機関から融資を受けて空き家を取得した場合の住宅ローン控除の適用については、
取得対価から「空き家補助金」を控除して計算することとなります。
◆譲渡の場合「3,000万円特別控除」不可
かつて居住していたが、一定の年数、空き家となっている物件を譲渡した場合には、
譲渡所得(所得税)の「住宅用財産の3,000万円の特別控除」の特例の適用を受けることはできません。
そのため、古い物件であっても「空き家」の処分時に譲渡所得が生ずることが免れないケースも増えてくると思われます。
◆H28よりNISAの適用範囲が拡大されます
平成28年からNISA(少額投資非課税制度)の適用範囲が拡大されます。
まず、現行のNISA(20歳以上の成年者に適用)の「非課税口座」に設けられている各年分の
「非課税管理勘定」に受け入れることができる上場株式等の限度額が
100万円から120万円に引き上げられます。
この改正により「毎月10万円の投資枠」が確保されることになりました。
そして、これまでNISAの適用を受けることができなかった
20歳未満の未成年者についても、待望の「ジュニアNISA」制度が創設されました。
◆「ジュニアNISA」とは
この「ジュニアNISA」制度とは、未成年者の「未成年者口座」に係る
「非課税管理勘定」又は「継続管理勘定」で管理される上場株式等に係る
配当所得・譲渡所得は非課税とするというものです。
この制度は平成28年1月1日以後に未成年者口座の申し込みがされ、
同年4月1日から受け入れられる上場株式について適用されます
(「非課税管理勘定」に受け入ることができる限度額は80万円。最長5年間)。
夫婦と子2人の世帯を例とすると、改正前の非課税投資枠は夫と妻でNISA
100万円5年×2名=1,000万円であったのに対し、改正後は、
(NISA 120万円×5年×2名)+(ジュニアNISA 80万円×5年×2名)=2,000万円と
倍になります。
これは子供を含む国民1人当たりの金融資産の平均額556万円×4人=約2,000万円に
見合う数字となります(H25総務省家計調査)。
◆18歳なるまでは払出ができません
成年NISAと異なる点は、18歳となるまでは非課税のまま払出すことができないという点です。
一方で、「ジュニアNISA」は最終の口座開設は平成35年で、その運用は平成39年で終了します。
この場合、平成39年の時点で18歳に達していない方もいるはずで、
そのような方が非課税のまま払出ができないとなると制度として好ましくありません。
そのため「ジュニアNISA」では、「継続管理勘定」というものが設けられました。
この「継続管理勘定」には、「非課税管理勘定」から各年80万円まで移管することができ、
その後、この「継続管理勘定」を用いることで、20歳になる前年まで非課税で運用を継続することが可能となります。
2015年度税制改正において、父母などから結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の
贈与税の非課税制度が創設され、内閣府では同制度に関するQ&Aを作成し、
内閣府ホームページ上で公表しております。
それによりますと、Q&Aには、同制度の概要や適用を受けるための手続きとともに、
法案が提出されてから注目されていた非課税対象となる結婚・子育て等の
具体的な費目をはじめ、贈与者が死亡した場合の取扱いなどが掲載されております。
非課税枠は1,000万円ですが、結婚に際して支出する費用については300万円が限度となります。
その対象となる結婚・子育て資金(婚礼、住居、引越、妊娠、出産の各費用と、
子の医療費、子の保育料に充てるための金銭)の詳細が明らかになりました。
婚礼費用は、婚姻の日の1年前の日以後に婚礼事業者に支払われる婚礼のための
施設の提供(会場費)、衣服の貸与(衣装代)、贈答品の販売(引出物代、お祝い返し代)
その他の便益の提供(メイクアップ代、人件費、飲食代など)及びこれらに付随する物品の
給付費用(ペーパーアイテム代)が対象となります。
住居費用については、住居の賃貸借契約で、婚姻の日の1年前の日から婚姻の日以後1年を
経過する日までの期間に締結されるものに基づき、締結の日以後3年を経過する日までに
支払われる家賃、敷金、共益費のほか、礼金、仲介手数料及び契約更新料が対象となります。
引越費用については、婚姻の日の1年前の日から婚姻の日以後1年を経過する日までの
期間にする転居で、転居のための生活用家具その他の資産の運送費用が対象となります。
出産費用については、正常分べん・流産・死産の別を問わず、
出産のための入院から退院までに要した費用が広く対象となります。
具体的には、出産の日以後1年を経過する日までに支払われる出産に係る分べん費、
入院費、新生児管理保育料、検査・薬剤料、処置・手当料、入院中の食事代、
その他出産のための入院から退院までの間に要する費用が対象となります。
受贈者自身が未婚の場合なども対象となりますので、あわせてご確認ください。
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